ひよこ組 保育の広場

平成26年11月

《かけっこ》

ある日、ひよこちゃんが登園するとブランコからころりんで飼っているヤギのおもちちゃんの小屋の方まで続く、ながーい白い線が何本も引いてあり、いつもと違ったころりんの庭園がありました。
「ん? 何? この線」と気にしていました。すると、きじさん・はとさんはその線に並んで楽しそうにおもちちゃんの小屋の方へと走っていきます。「第一コース、Bくん!」「はい!」と楽しそうな声も聞こえてきます。その光景を黄色いバッグを持ったまま固まってじーっと見つめているひよこちゃんでした。

「きじさんもはとさんもがんばれー! おぉ! 速いねー」と、ころちゃん(担任)と私が応援していると、きじさんにお兄ちゃんの居るCちゃんが「あ、Dちゃんが走ってくる! Dちゃんって速いなーかっこいいな」と口を開きました。Cちゃんの声にはっと我に返ったひよこちゃん達は自転車に乗ったり、泥遊びを始めようと動き出しますが…、何をやっても走っているきじさん・はとさんが気になるようで、また固まって笑みを浮かべながらじっと見つめています。

するとCちゃんが私の手を引き、スタートの方へ歩いていきました。スタートに並ぶと緊張しているのか手をぎゅっと握りしめてきました。「第一のコース、Cちゃんとみなみちゃん」とももちゃんが名前を呼んでくれると更に緊張したのか、嬉しかったのか、もっと強く手を握りしめてきました。
そしていよいよ、「よーい、ピッ!」と笛がなりました。すると!! さっきまで強く強く握りしめていた私の手を振りはらい勢いよく走り出しました。小ちゃくてかわいい背中がどんどん小さくなり、ゴールすると満面の笑みで「Cちゃん速いでしょ?」と満足した表情を見せてくれました。
Cちゃんを見たひよこちゃん達もゆっくり様子を伺いながらスタートに近づき走り出す子もいました。何度も、何度もスタートに立ち、お弁当の時間までずーっと走る子や「がんばれーがんばれー」と応援する子や興味津々でずっと見つめている子と様々でした。この日からひよこちゃんのかけっこごっこがスタートしました。

次の日からかけっこごっこで楽しそうに遊ぶひよこちゃん達。そんな中、かけっこをずっと見ているDくん。おんぶをして「第一コース、Dくん」とかけっこをするとケラケラ楽しそうに笑って「もう一回!」と何度も何度もくり返しました。すると、ズルズルと私の背中から降りて自分の足で走り出しました。その日からDくんもたくさんかけっこをするようになりました。

そして運動会当日。万国旗が空に浮かび、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん…たくさんの方々が見え、いつもと違ったころりんに緊張したのか(いや、緊張しちゃうよね!!)、お母さんにべったりなDくん。
開会式、オセロゲーム…次々と競技が終わり、いよいよかけっこです。変わらずべったりなDくん。走る素振りはまったくありません。お母さんと一緒に走るかな? 走らないかな? かけっこごっこは楽しそうにたくさん走っていたから走ってほしいな…などと心の中で思いながら「第五コース、Dくん」と呼ぶとさっきまでべったりだったDくんが急げ急げと慌ててスタート地点に立ち走り出しました。とっても逞しい姿に誰もがゴールすると思いきや、ゴール手前でUターンし、スタート地点のお母さん目指して走り出しました。
お母さんから離れず走らないと思っていたのに、一生懸命走る姿に感動しました。

何が起こるかわからないころりんの運動会。しかし子ども達自身が作り上げ、子ども達自身がやりたい! と心から思い、やり遂げる運動会だからこそ面白く、楽しい! と思えるのだと思います。お父さん、お母さんの大きな応援があり、温かい見守りがあるからこそ、ころりんの運動会は成り立つのだと心から思いました。当日もたくさんの応援、美味しいお弁当、温かい見守り、本当にありがとうございました。

はとさん・きじさんにたくさん刺激をされたひよこちゃん。来年、再来年とどんな運動会を作り上げていくのか楽しみですね。

みなみ

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