きじ組 保育の広場

平成26年6月

〈生き物たくさん飼ってます! 大変です〉

今、きじさん たくさんの生き物を飼ってます。はと時代から飼っている魚、先日捕まえたザリガニ3匹、サワガニたくさん、カッパ先生からもらったオタマジャクシ… これを全部別々の水槽で飼っているもので、水槽だけで6コ!! もあるんです。これだけ生き物がいたらいろいろなことが起こります。最初に捕まえたザリガニが死んでしまい… オタマがたくさん死んでしまい… 話し合いをして “毎日水かえをしよう” となりました。でもチラホラと「えー遊びたい。水かえしたくない」の声も。その気持ちも分かります。何分、生き物は興味がある or ない、好き or 苦手 がはっきりしているもの。興味がなくて苦手だったら…分かりますよね。今までは “やりたい人がやる” という感じだった水かえ。今回もそれで落ち着くかと思ったら、Gくん「こんなに死んじゃったんだから もう死んでほしくない! だからきじみんなでやろうよ!」と声が挙りました。Gくんに続いて他の子も「そうだよ! 遊んでる場合じゃないよ」「それにみんなでやればすぐ終わるし」「俺だって本当は遊びたいけど死んじゃったら嫌だからやる! だからみんなでやろう」「遊んでる人がいるのはずるい」と次々にとびだします。その迫力に押され「遊びたい」と言っていた子たちも「やっぱりやる!」となり、「よし! みんなでやろう!」となりかけた時でした。周りをウロウロしていたHくん、「Hはやらないね 遊びたいから!」と。それを聞いてGくん怒り出しました。

G「H なんでだよ! もっと死んでもいいのか!?」
H「また捕まえればいいじゃん」
G「かわいそうだろ!」
H「じゃあ川に返せばいいじゃん」
G「それはヤダ! みんなで飼うって決めただろ!」

どちらの言い分ももっとも… でも2人のやりとりを聞いていた他の子たちにも言い分があり… 子「みんなで水かえしようよ!」「なんでHは嫌なの!?」

気が付けばHくんの周りを6〜7人の子が取り囲んでいました。Gくんと言い合いになった時から、Hくんをジッと見つめるGくんとは逆に、Gくんの目線を避けるようにするHくん。Gくんが肩をつかんで話そうとするとその手をかわし離れようとするHくん。話の途中で「ちょっと待ってね」とみんなの輪を抜けメモに何か書いていたり… そんなHくんにGくんはじめみんなが本気で怒り始めたのです。

G「H! こっち見ろよ! 真剣な話は目を見るんだ!!」

Hくんの両手を握り言うGくんのあまりの迫力にげんきくんと私もHくんがかわいそうにも思いましたが、こんなにもHくんに本気で真剣にぶつかっていっているみんなの姿もはじめて見、Hくんへの思いをぐっとこらえ、様子を見守ることにしました。はじめは平気な顔をしていたHくんも涙がポロポロとこぼれます。

G「Hは はとの時もそうだった! 真剣な話になるとふざけたり 目見れなかったり、そんなのヤダ!」
Iくん「そうだよ! Hだけいつも聞いてくれないんじゃ せっかくHと友達になったけど なんか友達やめたくなっちゃうよ」

…この日はHくんがGくんの方を見ることは一度もなく、またHくんが「ちょっと待ってて」とみんなの輪を抜けメモに何か書いている内に、そのHくんが戻ってくるのを待っていたみんなもしびれを切らし、ちょうどバスが帰る時間となってしまい、話し合いは翌日にもちこされたのでした。何事もなかったように笑顔のHくんと、難しい顔のGくん。たまたまGくんと遊ぶ約束をしていた私がGくんの所へ行くと

H「ももー遊ぼう!」

と来てくれたHくん。

も「Gくんとこおりオニする約束しててさ、Gくんに聞いてみてくれる?」
H「Gくん いれて」
G「……ヤダ」

…他の子は入れてくれるのに頑にHくんを断り続けるGくん。

H「なんで!!?」
G「Hはさっき話聞いてくれなかったからどうしてもヤダ」

…そうこうしている内にこの日は帰る時間となってしまったのでした。明日Hくんは来てくれるか、どんな顔をして来るか不安になりながらHくんを見送りました。そして翌日、元気に登園してきたHくんにホッと一安心。Gくんはというと体調をくずし、お休みでした。Gくん不在でしたがもう一度話し合い。すると、明らかにHくん昨日と違うのです! そしてみんなも。

I「あのさ、なんでHは水かえやなの? もしHが飼うのが嫌なら川に返してもいいと思う」
H「Hは、水かえはしたくないけど、水汲みをしたい!」
I「…あっ! じゃあチームに分ける?」
H「うん! 水汲みチーム、ザリガニチーム、オタマチーム、魚チームに分かれるのはどう?」
皆「いいこと考えるね〜!」

こうしてトントンと話は進み、自分がやりたいチームにそれぞれが分かれ毎日みんなで水かえをすることに決まりました。

I「今日はH、話聞いてくれた! うれしかった〜」他の子も「うんうん! H、いい考えだしね!」となんだかみんなホッとした表情で、それを聞いたHくんもフワッとやわらかい笑顔になったのでした。

その2日後、散歩先にて こおりオニのオニの数で言い合いから少しなぐり合いになったのは、GくんとHくんでした。GくんもHくんもジッと見つめ合いながらの言い合い。Hくんがあんな風に子ども同士であそこまで言い合いをしたのは初めてだったように思います。「オニは1人」とGくん。「1人じゃつまらない」とHくん。10分位の言い合いのあと、「…じゃあ3人にしよっか」とGくん。「うん!」とHくん。笑顔でこおりオニが始まりました。

…散歩先から園に戻りそれぞれに遊んでいたGくんとHくん。Gくんが自転車の取り合いで他の子とケンカになりそうになった時、誰よりも先にかけつけて「Gくん、これ貸してあげるよ」と自分が乗っていた自転車を差しだしたのはHくんでした。……

水かえの話し合いをした日、Hくん、お家で落ちこんでいたそうです。4日間にわたる出来事。Hくん、Gくん、みんなの気持ちはきっと大きく揺れ動いていたことでしょう。どんな思いで過ごしていたのでしょう。聞いていて辛くなるような言葉もありました。でもそれも子どもの本音。とめてうまく「友達だから仲良く」というのは表面上はできるかもしれません。大人はその方が安心です。いろいろな子がいて、いりいろな考えがあって、ぶつかって、離れて、自分と相手を見つめて、そしてまた寄り添っていく… 本人たちも見守る側も勇気と根気がいること。でも、何かが動き出している気がします。Hくん、Gくん、みんなの中で。何かが変わってきています。やわらかく たくましく。

もも

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